「は~っ。」
今日はちょっとツラいことがあった。
家にもまっすぐ帰りたくないし、こんな日に限ってみんな予定あるっていったいどうなってるの?最近、つまんないな~。
まぁ、しょうがない。のんびり歩いてかえろっか。スマホスマホっと。いや、たまにはスマホ触らないで帰ってみようっと。
いつもみんなと歩いているから気づかなかったけど、こうしてみると気づかない景色ってあるんだね。あれ?あの煙なんだろ??こんな近くに工場なんかあったっけ??いってみよう。
「ゆ?」「おふろやさん??」
銭湯ってどんなところなんだろ~。うーんちょっとドキドキするな~。でもちょっとこわいなぁ。また今度でいいかな。いや~けど気になる。ドキドキ。なんか最近こんなドキドキ感なかったかも。よし!入ってみよう。
『いらっしゃ~い。あらお嬢さん今帰りかい?ゆっくり入っておゆき』
「ありがとうございます」(銭湯ってこんな風になってるんだな~)
『おや、お嬢ちゃん、この時間あまり見かけない顔だね!?帰り道かい?なんか元気なさそうな顔してるけど何かあったのかい?』
『そりゃあんた、年頃の子だも色々あるわよね~』
「はい、今日ちょっとツラい事があって。友達もみんな予定あって・・・」
『そっかそっか、そんな事もあるよね、あたしだってそりゃあるよ。けどそんな時でもここに来て大きなお風呂に入っていつも顔あわせる人と話してたらすっかり元気になるよ。あなたも気軽に楽しみな』
(はーーーっ、お風呂の中で足ものばせて気持ちいい~)
(家では味わえない色々なお風呂もあるんだ)
全部のお風呂に入って長くなっちゃった。そろそろあがろうかな。
あれ?
牛乳が瓶に入ってる?
紙パックじゃないの?
『最近の子に瓶の牛乳は珍しいかもねぇ。昔は瓶が普通だったし銭湯といえば瓶の牛乳とかコーヒー牛乳を思い出す人も多いのよ』
「へ~、そうなんですか!?せっかくなので飲んでみます」
『ありがと、はいお釣り』
(瓶に触れる唇も冷っとして気持ちいい。あー湯上りだからか、いつもよりおいしく感じるな~)
「ありがとうございました」
『お嬢さんありがとね。少し表情が明るくなったかね。また遊びにおいで』
入るときはどんな所かわからなくて緊張したけど、人も場所もあったかかったな~。元気出てきた!
こんな近くにあったんだなぁ、心も体もあったかくなる場所。